



通常、建築を無自覚のまま行えば、その行為は環境に負荷を増大させることになってしまいます。建築は素材や資源の採掘で地球を損傷し、建材生産、運搬、工事等で大量のエネルギーを消費し、二酸化炭素を排出することになり負荷を与えます。例えば木材であれば成長に50~80年要するのに、それを使用した住宅が日本では平均30年弱で取り壊されます。二酸化炭素を吸収する期間より伐採されて廃棄されるまでの使用期間の方が短く、結局排出量がはるかに多くなります。また、解体された材も、本来土に還せるはずのものでも地中汚染を引き起こす科学物質を含んでいることもあり、管理型最終処分場という土との間をコンクリートなどで完全にシールドされた建設費が莫大にかかる処分場に廃棄するか高温度で燃焼処分するしかありません。多くの建築がこの状況から逃れられません。
建築を環境負荷削減に貢献できる行為とする方法として考えたのが、エネルギー消費を減らすことと二酸化炭素を吸収する森林の育成に役立つ行為とすることです。集成材化技術により伐採された木材が細めであっても大断面部材として活用できるので、廃棄割合が少なく歩留まり良く木材を活用できます。化石エネルギーを消費する建材の使用に代わって集成材を効率的かつ大量に活用し、木材の生長期間以上に利用される建築とすると、二酸化炭素の吸収量が増大し、林業に資することができ、さらに森林育成の従事者の業務安定に寄与し、ひいては地球環境の負荷削減に貢献するはずです。当社で部材を扱っているFM工法及びDEWS工法は軸組み工法の3~4倍の木材を使用し、林業の活性化により効果的に貢献する工法です。現時点ではまだまだではありますが、木材供給の社会システムがうまく整えられれば、このような建築行為が環境負荷削減に繋がっていくことになります。
このようなシステムを考案しても、普及して初めて大量の木材が使用され、林業が活性化し、森林育成や生物多様性の維持に貢献する働きが可能になります。この工法を普及させていくに当たって問題となるのは、集成材とその加工の価格が不安定で高価になりがちなことです。特殊加工の集成材となりますと、集成材生産者もそれほど多くでる材ではないということで在庫を抱えません。それと集成材のメーカーは、初めての購入しようとする方には与信の関係もあり直接販売しないことが多く、いくつか卸しを経る必要があります。結果、始めての購入希望者には倍以上の価格となることもあります。これでは普及は覚つきません。そこで(株)結設計の藤原氏が中心になって働きかけ、多くの関係者と話し合い、普及のためにこの工法の部材をまとめて扱い、計画的供給と支払いの責任を負う体制を賛同者と共に築くことにいたしました。そのような経緯で設立されたのが(有)グルーラムウォールです。(詳しくは、住宅特集3月号の抜粋記事を参照ください)上記のような考え方に賛同して挑戦的に集成材壁式工法で建築しようとする方に、他所で供給できない工法部材を提供することで当社なりに環境負荷の削減に貢献していければと考えています。
集成材は、3~4センチ厚の板―ラミナ材-を、何枚も接着して大きな材にしたものです。ラミナ材はフィンガージョイントとといって、鋸の刃のようなぎざぎざした接着面で繋いで長い材とします。集成材は使われている接着剤によって、使用できる箇所が限られます。レゾルシノール系接着剤を使用した集成材は外部、内部どこでも使用できます。レゾ(レゾルシノール)は黒色で接着材が線として表に現れます。カラマツとベイマツにおおく使われます。フィンガージョイント部分にも同じ線が現れます。水ビ(水性高分子イソシアネート系)接着剤は透明でそれを使用した集成材は、風雨の当たらない内部のみでの使用が可能です。ベイマツの場合基本接着剤はレゾでも、フィンガージョイントを水ビにしたものもあります。材種は、構造用集成材の場合、カラマツ、ベイマツ、アカマツ、杉、ハイブリッド集成材とがあります。現段階では、杉はめり込みやすく構造用としてあまり常備材として作られておりません。ハイブリッド材は、ベイマツと杉の混合材で、中国木材(株)が主に、軸組み工法の梁材として生産しています。梁として使用したとき、引っ張り強度を必要とする部分にベイマツを、圧縮強度しか負担しない部分に杉にして、両種類の特徴を組み合わせた集成材です。アカマツは欧州やソ連材が多く、外部に使われた場合、カビを発生する可能性もあり、内部材として使用されることが多いです。カラマツは国産材であることが多く、当社ではカラマツを多く使用しています。材が足りない時は、内部床にはアカマツを使用することもあります。