まずは何より、成果物をみていただくのが手っ取り早いと思いますので本工法で建てた家の実例をご紹介いたします。

ぱっと見でわかるのは「中も外も木が出ている」ということだと思います。これがこの工法の最大のポイントで、「集成材の板を土台に建てただけで中も外も仕上材を被せることなく壁が出来てしまう」のです。建ててる途中はこんな感じです。

従って、建物外周部に関しては集成材を建ててしまえばほぼ終わりです。
普通、建物の壁には仕上げがしてあったり、中に断熱材が入っていたりします。そういったものが無い集成材壁式工法は建物としての性能は大丈夫なんだろうかと、誰もが思うのではないでしょうか。そこで、次は性能について説明します。
キャンプで火を起こすのに苦労した経験はありませんか?生の木というのは相当の水分を含んでいるため簡単に火がつくものではないのです。さらに、一旦火がついても炭化するため一定以上燃え進むのには相当な時間がかかります。この性質を利用すれば耐力壁外壁に必要な60分準耐火性能の大臣認定を取得するのは難しいことではありません。

上の写真は性能評価試験の時のものですが、左の写真は片面を1時間燃やして炉から外す瞬間の写真ですが、手前側の非加熱面には全く損傷が見られません。実際に温度は過熱面が1000度近いのに対し、非加熱面は加熱前と比べて2度程度上がったのみです。触っても反対が燃えてるとは感じられません。コンクリートの壁などですと非加熱面も相当な温度になるので、いかに木だけで出来た壁が火事のときに安全性を確保できるか感じられるのではないでしょうか。また、この温度が伝わりにくい性質は外気温と室内気温の関係にも当てはまり、次項で説明しますが良好な室内環境維持にもつながります。
一般的に建物の性能は気密性能と断熱性能で語られることが多いです。厚さ12cmの唐松集成材の場合、K値は1.28程度なので、10kのグラスウールで厚さ100mmのK値0.5に比べ半分以下の能力しか無いことになります。しかしながら実際暮らされている方にお話を伺うと、特に寒さも感じないし暖房費が嵩むことも無いとのことです。
住空間の快適さに関しては温度計に表示される空気自体の温度だけではなく、湿度や輻射熱、視覚による体感温度の変化なども影響してきます。木は乾燥させた集成材となっても調湿、蓄熱といった性能を失うことはありません。つまり、内部で暖まった空気が集成材の壁に蓄熱され、外気との温度差を適度に調節し、かつ乾燥する冬には湿度を放出するため極端に室内が乾燥することも無いためにそれほど室内温度を上げなくても快適に暮らせるようです。また、木の色を見ていると白い壁を見ているときと比べ体感温度が1度から2度上がるという実験結果もあります。
前項までは木の持つ特性でしたが、無垢材が集成材に敵わない特性として断面と物性の安定度があります。集成材を造るには、まず無垢材を12cmx3cm程度に小割にした材から欠点部分を取り除き、長手方向にフィンガージョイントで接合し長尺の板を作ります(写真左)。その板同士を、木裏木表が交互になるように接着(写真右)することで、ねじれ難く構造強度も管理しやすくなります。その結果、施工にも安定性をもたらします。


きっかけはローコスト住宅でした。徹底的にコストを抑えなければならない状況で、いかに工程を減らし人件費を抑えるかを考えた末に「木の板を建てておしまい」ということが出来ないかと考えるようになりました。これだけで住宅が出来れば、ローコストだけではなく環境への負担も軽減できるのではないかと思い、最初はフィンランドから厚み9cm、巾60cm、長さ6mの集成材を輸入して建てる事にしました。その後、国産材を使うようになり、準耐火構造外壁の認定を取得し、構造計算も繰り返していく中で、設計者・構造設計者・工務店の知恵を合わせて集成材壁式工法としての最初の完成形となったのがFM工法です。FM工法は逆T型の鉄骨土台にスリット加工した厚さ12cmの集成材壁パネルを差込み、あらかじめ空けてある穴にドリフトピンを打ち込むことで接合するという極めてシンプルな工法です。壁パネル同士は雇い実で接合されています。

FM工法で16棟の住宅を設計したことで様々な蓄積を重ね、改良したのがDEWS工法です。どのように改良されたかというと、壁のみならず床、屋根の構造材も集成材パネルを使用し、かつ、全てのパネルが独立して着脱自由となることで、建設、メンテナンス、解体等全ての工程に於いて様々なメリットをもたらすことが可能となりました。基本的には屋根面以外は集成材を塗装のみの現しで使用できるため、建設時、解体時、改築時共に出るゴミの量は非常に少なく、また、モジュール化された部材とすることにより解体後の部材も劣化が少なければそのまま再使用出来ます。さらに、通常の在来軸組み工法より木材をかなり多く使用する工法であり、国産唐松材を主な材料とすることで、森林保全で問題となっている木材の有効利用先としても多いに役立ちます。環境へのインパクトを抑える新しい建築のかたちを実現するDEWS工法について、以下にてより詳しく説明致します。
スケルトンと聞いて最初に思い浮かべるのは、鉄筋コンクリートの打ち放しのようなガランとし たスペースではないでしょうか。そのままでも住めないことはありませんが、仕上げをしないで 住むというのはなかなか勇気がいる選択だと思います。一方DEWS工法は、国産唐松の集成材パネルを連続して建てることでスケルトン部を構築します。この集成材パネルは厚さ方向に対しては無垢なので、断熱、調湿機能に優れており、内外共に仕上材で被覆する必要がありません。さらに床も屋根も集成材パネルで構成することが可能であり、仕上げが無くてもそれなりに平らな面が構成できるため、配線と配管の処理を適切に行うことで、スケルトン状態で充分な居住性を確保することが出来るのです。また、壁も天井も床も全てが木ということで、どこでもビスが効く状態となります。例えば後から棚を付けたり、室内にハンモックを吊るしたり、2階までボルダリングのホールドを付けたりと使い方は無限に広がります。とはいえ、家の中どこを見ても木だらけというのもちょっと...という方もいらっしゃるでしょうから、内部仕上材としては和紙貼りを提案させて頂いております。和紙であれば木の持つ調湿機能を生かすことも出来ますし、貼り換えもご自身で施工して頂くことが可能です。もちろん、一般的な住宅のように石膏ボードを貼って左官、クロス、塗装などの仕上げをすることも可能です。例えば、最初は主構造部となるスケルトンと必要最低限の設備機器を購入して、その後の間仕切りや仕上げは必要な時に追加していくという住み方も可能ですのでイニシャルコストを最小限に抑えることができます。
一般的に、スケルトンインフィルというとインフィルのリフォームは可能でしたがスケルトンが老朽化したら解体するしかありませんでした。いくら長持ちしても、いつかは壊され、リサイクルするにもそれなりの労力とエネルギーが掛かるというのは、避けられるなら避けた方が良いと考えました。DEWS工法は巾33~45cm、厚さ12cmの国産唐松集成材パネルを並べていく工法です。基礎、壁パネル、床パネルが全てボルトでの緊結による接合ですので、住み始めてから部分的に傷んだ壁を1枚だけ交換するということも可能です。現在、集成材の屋外暴露実験は30年まで行われており(E. Raknes「Durability of structural wood adhesives after 30 years ageing 」『Holz als Roh- und Werkstoff』,1997年)何の保護も無く屋外に晒された状態でもレゾルシノール系接着剤の集成材は構造上問題無い強度を維持しています。屋内での使用に当たっては接着性能の劣化はほとんどありません。従って、屋根をつけて直接水がかかりにくくしたり、紫外線劣化等を軽減する塗装をすることで屋内同等とまではいかないまでも相当の耐用年数が見込めると考えられます。そして、それでも部分的に劣化が起きた場合には、構造体が現しになっていることで早期発見が可能となり、部分交換可能とすることで、スケルトンとしてより一層の耐久性を目指しているのです。もちろんインフィルのみの交換も簡単で、特にユニットバスなどの大きな設備を変更する場合などは、各パネルが着脱可能ゆえに破壊箇所を最小限に抑えることも可能となるのです。
スケルトンが動く、と聞くとそれは本当にスケルトンと呼べるのか疑問に思われるかもしれません。しかしながら骨格であることに間違いは無く、インフィルとの分離も簡単である以上スケルトンと呼んで差し支えないでしょう。DEWS工法は部材の部分交換が可能、ということは上の項で述べたとおりですが、これはすなわち増減築も容易であるということにつながるのです。壁一面分のパネルを外し数枚のパネルを追加することで、マッチ棒クイズに似た感覚で領域を広げることができます。逆に、お子様の独立後などに家を小さくしたい時にも対応可能で、この工法が広がれば減築時に出たパネルが中古部材として売れる可能性もあります。さらに、引越しのときには、パネルを完全に分解することで家ごと次の土地に持っていく(一部廃棄になる部材はあります)ということも可能です。もちろん内部についても構造に関係の無い壁はいつでも動かせますし、構造に関係のある壁だって計算しなおせば動かすこと自体は難しくありません。日本の住宅の寿命は建物の寿命ではなく生活形態によると言われています。これだけ簡単に動かせるのなら材料の寿命を全うするまで使い続けて頂けるのではないでしょうか。
何かと世知辛い世の中です。家に居るときくらいやさしい気持ちでいたいと思いませんか? DEWS工法は地球環境に配慮するのは当たり前ですが、住環境にもしっかりと配慮した工法なのです。例えば在来軸組工法では構造材の他に石膏ボード内部仕上材、断熱材、外部仕上材等、様々な構成部材があり、それを現場で切ったりするのでかなりの端材が出ます。DEWS工法は内外壁共に構造部材以外は特に必要ありません。外部は木材を保護するための塗装はしますが、塗るだけですからほとんどゴミは出ません。フローリングを敷く場合は多少端材も出ますが無垢フローリングを使えば燃えるゴミですし、和紙貼りにしても余った和紙は他に使い道があるはずだしはがしてしまえば家庭ゴミの範疇です。傷んだ集成材パネルも、800度以上で燃焼させる現代のゴミ処理場(ex. 東京二十三区清掃一部事務組合FAQ)で燃やせば有害物質は出ません。さらに国産唐松を大量に使うことで森林保全にも一役買えます。また、住環境としても木に囲まれた空間は調湿機能に優れ、体感経験上、冬の乾燥時も比較的やわらかい住環境を提供してくれます。さらに木の色はストレス軽減の効果(野村順一『色の秘密』文春文庫PLUS,2005年)があり、集成材の家に住み始めて血圧が下がったという報告も頂いております。
現在準備中ですので、住宅特集の抜粋記事をご覧ください。